Yucky☆マニア~Special Fan book~
普通に考えればキラの要求は飲めねぇし、飲むつもりもない。



俺にとっての1番は競泳
俺の人生は全部競泳を中心に回ってきてる。



高校は競泳の強豪校に行くために大阪まで行った。
大学だって競泳をやるために体育大学に入ったんだ。




朝も昼も夜も
俺の生活は競泳を中心に回ってる。


世界選手権で1位を取って
いつかオリンピックでメダルを取りたい。




それは夢物語ではなく現実に手に届く範囲までに成長した、俺。





どー考えたってキラの要求はおかしいだろう。
飲めるはずがねぇし、飲むつもりもねぇ。


俺は負けねぇ!
絶対に負けてたまるか!!


……だけど……
そう思うたび、美織の笑顔が脳裏にチラつく。




俺はいいけど…さぁ?
アイツはイヤだろうな。
あんな過去を晒されたら『私、これ以上生きていけない!』とか言いそうだよなぁ……。



慎とか仁にスコンスコンにどやされそうだな、俺……。



は~~~。めんどくせぇ。
アイツはなんでこんなにめんどくせぇんだ!



傍にいてもめんどくせぇのに
遠くにいたら遠くにいたで、めんどくさい。




ホントに悪魔だ…
アイツは俺を翻弄させるために生まれた、性悪悪魔だ……!!!





日本選手権まではあと数日しかねぇっていうのに、集中しきれない俺の頭ン中。集中しなきゃと思えば思うほど、頭の中がおかしくなって、俺の心を蝕んでいく。


ココロが蝕まれたら今度は体が落ちるのみ。


泳げば泳ぐほど
もがけばもがくほどに
俺は調子を崩していって


みるみるうちに
面白いようにタイムが右肩下がりに落ちていく。

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