Yucky☆マニア~Special Fan book~
落ちていく、タイム
無くなる、自信
美織も手に入れられない
競泳すら、俺からどんどん逃げていく
もがけばもがくほどドツボにハマる。
恋も夢も何もかも
悪い方向に行くのをどうやったって止められねぇ。
あ~~~ぁ。
俺ってこんなヤツだったっけ??
好きなオンナも夢さえも手に入れられない。
手に入れたいくせに手に入れられなくて
それでも手に入れたくて悪あがきして
余計に状況が悪くなる。
「…なんだ、コレ……。」
欲しいものはたった一つ
日本選手権の優勝、ただ一つ
美織は諦めると決めたんだから、俺にはもう競泳しか残ってないハズなのに、その競泳すらもが俺にソッポを向き始める。
もーー、ダメだ。
俺はもうだめだ。
こんなんじゃさ??
別にキラがどうこう言う前に普通に予選通過できなくねぇか??
いつも自分を後押ししてくれてた水が重い。
いつも自分の味方だった体が思うように動かない。
頭の中さえ…
これでいいのかと混乱してる。
『もういいんじゃねーの??
頑張るのも疲れたし、頑張るのもめんどくせぇし。もうこのまま負ければいいじゃん。
難しく考えるのは止めにしようぜ。』
楽になれよ、という自分もいれば
『アホかーーーーッ!!
全力を出し切ってまけるならまだしも、こんな中途半端なところで諦めるわけにはいかねーだろうが!!』
最後の最後まであがき続けろ!!という俺もいる。
――あぁぁぁ~~っ!もう!!
俺にどうしろっていうんだよ!!
最後の最後
帝体大のプールでやけくそになって泳いで
過去最低タイムをたたき出したあの日。
「ちょっと……冷静になる時間を下さい。」
郷田ジャイアンにそう言って
イラつきまくってた俺を追いかけてきたのは……
「キョウちゃん…!!」
悩みの元凶
不幸の悪魔
俺の最低の幼なじみ、桐谷美織だった。