硝子の器に君の雫


 「永瀬 樹(ながせいつき)です」



 一通り自己紹介をして全員の名前を把握する。  


 小さい女はか細い声で「志乃です・・・」と答えた。多分こういう場に慣れていないんだろう。


 誰ともしっかり目を合わせようとしないのだ。先輩は隣の篠原にこそっと「あの子暗いな」と耳打ちしていた。   


 篠原は軽く受け流していたが、俺はあんまり先輩に対していい気分を持てなかった。


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