手に入れても
「また来てね、朋ちゃん」
「はい。ありがとうございました」
穏やかな雰囲気から抜け出すと、外はもうすっかり真っ暗だった。都会でも星はそこそこきれいに映る。
時計を見ると、終電までまだ余裕がある。
「駅まで送るよ」
すっかり大人になった彼が私の一歩前を行く。あのころとは違う。何もかも。だけど、彼の色気は一段と増した気がする。
「貴文くん、髪黒くしたんだね」
「かっこいいやろ?」
「うん」
方言と標準語が入り混じるやり取りはおかしくて、とても懐かしい。