Special
ある日おれは提案した。
「――レン、お前もう一人で暮らせ」
「え……?」
「お前はもう一人で生活出来る経済力があるんだから」
「……すみません」
レンは俯いて謝った。
――ああ。コイツは勘違いをしている。
「レン。邪魔だから、とかじゃない。だからいつでもおれを頼れ。おれもお前を頼ってるんだから」
「堂本さん…」
そう言ったらレンの目はまた光を灯しておれを映した。
「家借りるのには保証人が必要だ。でもそういうのおれ面倒だし、お前おれのマンション使え」
「え?堂本さんは?」
「おれは他に部屋はたくさんあるんだよ」
「・・・・」
「その代わりきっちり家賃は支払えよ?」
「…当たり前ですよ」
そうしておれ達は5年の同居を解消して別々の生活をするようになった。
レンが一日でも早く、自立できるように。
金の話じゃない。
心がいつか自由になれるように。