Special
気付いたのはおれが買ってやった服を着てた時だ。
別に深く考えて買った訳じゃない。
そもそもヤローに買う服なんてテキトーだ。
黒のVネックだった。
華奢なレンはその服が少し大きかったようだ。
ふと、レンの胸元に目がいった。
そこには青紫…黄色くなって治りかけの部分もある、痣が見えた。
――普通あんな胸板のあたりにあそこまでの怪我をすることあるか?
「レン…」
そう呼んで視線の行き着く箇所に気づいたレンは、いつもにはない慌てようでおれに背を向けた。
「…ダチか?…オヤか…?」
暫しの沈黙のあと、本当に一言だけ。
「…戸籍上の親」