Special

おれはレンのその独り言のような告白をただ黙って聞いていた。

なんとなく予想はしていた。
それはある意味予想通りの過去だ。

だけど、詳しい内容がわからないにしても、どうやらレンは“女”に対して異常なほどの恐怖感と嫌悪感、絶望を抱いている。


これほどの感情を、いくら仕事だからとは言え押し殺すことが出来るのか。

おれはレンにつらいことをさせようとしていたんだ。

もしかしたら、レンは今ホストの道を逸れたいとおれに訴えているのか。


―――だとしたら……


ややしばらく無言でレンを見ていたら、レンがまた口を開いた。


「堂本さん、俺、やります」
「え?」
「ホスト。堂本さんの為に…それと自分の為に」
「自分の為って…お前、無理すんなよ」


傷口に塩を塗るようなものだ。
女が許せないのに、その女の為に笑って、褒めて、膝まづいて。

それほどの屈辱はあるだろうか。


「大丈夫です。ただ…」


レンが綺麗な目でおれを射抜く。
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