Special
「ただ、俺を裏切らないでください―――…」
それはおれも思いもよらない言葉だった。
コイツは、色々な感情を抱えているが、根深くあるのは“信頼”と“裏切り”
信頼するほどの誰かが今まで誰も存在しなく、絆がある筈の家族にすらも容易に裏切られた。
多分、今レンは誰かに…おれに裏切られたとしたら一生心を閉ざしたままの灰人間になるだろう。
おれはガラにもなく、レンを力いっぱい抱きしめた。
「バカか。おめーを裏切ってなんの得があるんだよ」
いつか、救ってやれたら――…
本当、ガラにもなくおれはそう思ってレンを離さなかった。