Special
私の真剣な眼差しにレンは何も言えず、動くことすら出来なくなってた。
「私、嘘はいやだから」
「嘘?」
「…ごめんね。レン…レンのことを堂本さんから聞いたの」
「堂本さん…に?」
「堂本さんを責めないで。堂本さんは…堂本さんは、やっぱりレンの一番の理解者だと私は思う」
そんな話を始める私とレンのテーブルは、ホストクラブらしからぬ湿った雰囲気で、やけに周りの騒がしい声と音が耳に入ってきた。
「・・・で?なに?同情しにきた?」
レンが少し冷静な口調で…わざと私に辛く当たるようなことを言う。
それでももう、私は動揺することもなくて、真っ直ぐと見つめ返して答えた。
「・・・私思ったの。レンの、たまに見せる笑顔の影にある“サミシイ”の心をずっと私、感じていたんじゃないかって」
「…気のせいだろ」
「レンの“たすけて”ってサインなんじゃないかって」
「―――…!」
私は吹っ切れただけあって、感情的にも投げやりになることもなく、ただ、自分の想いを真っ直ぐにレンへ届けようとした。
レンに裏切られただなんて一瞬でも思った自分がバカだった。
好きなら・・信じて欲しいなら、自分も信じなければただの身勝手な片想いになってしまう。
だから、私はもうなにも考えない。
この手を再びレンに取ってもらえるまで―――