Special
―――頭が、痛い。
「…レン?」
その声で俺を呼ばないでくれ。
「レン?!」
なぜかお前の声を聞いたら、何度でも固めた決心がいとも容易く鈍るんだ。
なんなんだ。
急に俺の中に入ってきて、勝手に色々置いて行く。
“堂本さんを責める”?
そんなことするわけないだろう――
感謝こそすれ、責める権利なんて“人”を放棄した俺になんか持ち合わせていないんだから。
なのに―――
「レンッ」
そんな温かな声で名を呼ばれたら、俺は都合のいい男になってしまうだろう?
遠くに聞こえるその声は俺の名を心配そうに何度も何度も呼んでる。
でもぐらりと景色がまわった後、目の前は真っ暗で、俺はそのまま目を閉じた。