Special
「あ···」
「······?」
どっかでみたことある女だな···
「あの…レン、さん?」
「?…そうだけど…」
なんだこいつは。
この街、場所にそぐわない雰囲気の女。
キャバ嬢なんかじゃないし、カラオケなんかの客引きでもなさそうだ。
「ハンカチ…ありがとうございました。これ、代わりのもので、申し訳ないんですが…」
「あ―――…」
あの時の…あの女か…!
「わざわざ…それは御苦労さま」
そう言ってその女が差し出した物を受け取らずに俺は店に戻ろうとした。
「えっ…あの、これ…」
「いらねぇよ。俺は金しか興味ない」
女はその場に立ち尽くすだけで、俺は構わずにそのまま階段を降りて店へと戻った。