Special
小さな公園が目につき、そこに入る。
公園のベンチを見るだけで、あの日のレンとのことを思い出す。
「も、イイ?由麻チャン。何、レンに乗り換えちゃってんの?」
マサキは口元は笑っているが目が笑っていない。
私はあの、脅されている写真を忘れていた訳ではなかった。
だけど堂本さんの話を聞いた途端、考えが変わった。
ホストのレンがダメにされるかも――
私はそう思っていた。
でも、レンそのものがダメになるよりよっぽどいいのでは―――
それは私の勝手な思惑ではあるが、多分堂本さんは色々なリスクを踏まえた上で私に託してくれたのだ。
そう、思うから。
「あんな写真なんかで、レンがあなたにひれ伏す訳ないじゃない」
「…オレは本気でやるぞ」
「だから、そうしたとしてもあなたが勝ったことになる訳じゃない!」
以前とは違うと感じ取ったのかのその私の雰囲気にマサキも一瞬言葉を飲む。
「――――わかった」
「え?」
マサキが目を伏せて、信じ難い言葉を吐いた。
まさか、こんなにあっさり…
そう拍子抜けした時だった。
「あんまり女に手は上げたくなかったんだけどなぁ…」
私は腹部の鈍い痛みと遠退く意識の中で、マサキのそう言った声が聞いていた。