Special
完全にマサキの勘違いだ―――。
恐らくマサキがレンに会った頃はまだレンも今のような“人”になっていなかったはず。
きっと、“マサキを見ていなかった”んじゃなくて、“誰も見ていなかった”んだと思う。
「―――違う」
私は静かに反論した。
「レンはそんな人じゃない。あなたの彼女だって盗ってなんかないし、あなたを見下したりなんかしていなかった。それは今も」
「お前に何がわかるんだよ!」
「全部あなたの被害妄想よ!」
「―――っお前ッ!!!」
マサキが怒り、早足で私の元へと戻ってきた。
だけど私はマサキを睨み返して決して目を逸らさず、逃げずにその場にいた。
マサキが埃と共に私をソファに押し倒して手を拘束する。
「痛い目に遭わないとわかんねぇみたいだな」
でも、もうマサキを怖いとは思えない―――。