Special
レンは確かにそう言って私の肩を抱いたのだ。


「別に№1なんかマサキにくれてやってもいい」
「てめ・・・」
「…っていうのはつい最近思えたことだ」


レンがそう話す顔はどこか吹っ切れたようにも見えた。


「俺はイチバンじゃなきゃいけないと思っていた。イチバンを走り続けてなきゃ存在価値がないんだと」
「……」


レンの話をマサキは顔を歪ませたまま黙って聞いている。


「そうしなければ俺の唯一の存在、堂本さんにも捨てられるんじゃないかってな」

「そんなことッ…」


私が話に割って入ろうとしたのをレンが目でそれを止めた。


「結局信用されてないと思っていたのは自分の勝手な想像で、今まで全て自分がその手を離してきていたことにやっと気付いたよ」


レンはそう言うと今度は私の手を取った。


「…随分と今日は流暢に話すじゃねぇか」


マサキは未だ納得のいかないような態度を示したが、初めの頃のような憎悪感や殺気は感じられなくなっていた。


「だから――――」


急にレンがマサキに近づいて胸倉をつかみ睨みを利かせる。


「お前がもしも本当に由麻に何かしたのなら……覚悟しろよ?」


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