Special
「レン!」
狭い路地を抜けて、少し通りが明るくなったと思ったらすぐにレンを呼ぶ声がした。
「大丈夫か?」
「はい。お待たせしました」
それは愛車に寄りかかりながら煙草をふかしてレンの帰りを待っていた堂本さん。
「由麻!お前も大丈夫だったか?」
「あ…はい」
堂本さんはレンの後ろにいた私にも声を掛けてくれた。
「とりあえず乗れ。送る」
そう言われてレンと一緒に堂本さんの後部座席に乗り込んだ。
「やっぱりマサキか」
ハンドルを握り、変わらず煙草をふかしながら堂本さんがぽつりとそう言った。
「マサキをクビにしますか?」
レンが堂本さんに聞いた。