Special
病院に戻るとそれはそれは看護師なんかが騒いでいて、レンの姿を見つけてからはちょっぴり怒られていたようだった。
そんなレンを見るのももう自分にとっては愛おしくて仕方がない。
堂本さんと一緒に病室に入った私は再び病院着にさせられて戻ってきたレンを見てホッと一息ついた。
「じゃーもう無茶すんじゃねぇぞ」
「はい…」
「心配しなくても由麻は責任もっておれが送ってくから」
堂本さんにそう言われてなんだか気恥かしくなった。
「じゃあ行くぞ、由麻」
「あ・・・」
堂本さんに病室を出るように促された私は、レンを見て声を漏らしてしまった。
それは、きっと別れ難いという気持ちがバレバレだっただろう。
レンはそんな私をベッドの上から見て言った。
「俺が退院して元気になったら“渡したいもの”ってやつを返しにこいよ」
「え……?」
「…それまで、お前が預かってろっつってんの」
それは不器用なレンの今の想いを伝えてくれた言葉。
――また、会える。
私は大きく頷くと少し先に待つ堂本さんの背中を追い掛けた。