Special
「おい…お前ら…」
おれがまた静かに口を開く。
「店はいつもどおり営業するんだ。だったら、んな不安がってないでやる気を出せ。お前らが全力でヘルプをしろ」
「は、はい…」
「…なんならその不在の位置を奪う位の根性見せたらどうだ?」
最後にそうホストらをけしかけるように言い捨てると、タバコに火をつけ、その場から去ろうとした。
「オープン以来の危機ってやつか…?」
「…そう思うならお前がまた戻るか?遠藤」
「…勘弁してくれ」
店の入り口付近で壁に背を預け、おれにそう言った。
黒服の相棒・遠藤が唯一殆どのことを知る人物だった。
そして店を出て階段に足を掛ける。
おれが階段を数段昇ったときだった。
階段の終わり付近に人の気配を感じてタバコを指に挟めて仰ぎ見る。
「はあっ…はぁっ…」
目を細めてそこにいる人物を確認すると再びもう一度だけ紫煙を口からゆっくり吐き出し言った。
「――――きたか」