Special
「悪いけど、私レンに対して同情なんてしたことない。したことあるのは尊敬よ」
「……」
「マサキも…本当にヒドイ人間だったらとっくに私をどうにかしてるわ。あんな写真でなんて脅さずにもっと手っ取り早く」
「本当、めでたい奴だな…」
「憎んでも、傷ついても、非情になって女の人を傷つけることができない。マサキもレンも。
そう言うところが同じだって今わかったから」
由麻はそう言って俺を見た。
自分に背を向けられたマサキは由麻の視線が俺に向けられてることに気付くとゆっくりと手を動かしたのが見えた。
「―――ゆッ・・・!!」
「!!?」
そのマサキの握られた手は由麻の目の前で止められた。
「こんなもん、持ってたって苛つくだけだ」
マサキはそう言って由麻が開いた手のひらに小さなものを落とした。
「―――これ」
「もうどうでもいい。早くオレの前から消えろ、お前ら」
そうして由麻は俺の元に無傷で戻り、2人で廃墟から出る直前にマサキに言い放った。
「誰だって、“もう遅い”ことなんてないんだから」
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