Special
「祐真…でしょ?」
「……」
「久しぶり…ね」
「――――ああ」
驚いた。
まさか、顔を合わすとは思わなかった。
「急に・・どうしたの?」
ああ。8年も経つとやっぱり多少歳とったな、なんて思える程、予想外の再会は余裕があった。
「別に」
お互いに、泣くことも、手を取り合うことも、抱き合うこともしない。
でも、これがきっと俺たち母子の関係の現実だ。
「―――じゃあ」
これ以上ここにいても、何も話すこともないし、生まれるものもないだろう。
そう思って俺は“母”の横を突っ切ろうとした。
「祐真!」
「……」
背を向け、あと一歩で手が届く位置で名を呼ばれる。
「また…顔を見せて……ね」
最後のその言葉は貴女の本心だと、信じるよ。
「いや。もう来ない。」