Special
「どうした?勧誘か何かか?」
「……」
お父さんが自分が代わりに出てやると私の後ろまで来ていた。
でも、このとき私はそれよりも目に映ったものに心を奪われていて気にも留めなかった。
「由麻、どけろ」
「!お父さ、待っ――――!」
我に返りお父さんの手を止めようとした時にはもう遅かった。
お父さんの手は玄関のドアノブを掴み、ゆっくりとドアを開けてしまう。
「?!」
「―――誰だ」
玄関を開けられて、ドアの向こうに立っていた人物は驚いた顔をする。
お父さんは眉間に皺をよせて威嚇する。
「―――レン」
そこに立っているのは紛れもなくレン。
だけど――――
「初めまして。漣祐真です」
そう深々と頭を下げて挨拶をしている彼は、“レン”と名乗ることなく漣祐真《さざなみゆうま》と名乗ったのだ。