Special

レン……じゃない?


私が一瞬そう思うのも無理はなかった。

レンと同じ声、同じ顔だが何かが違う。

いつものレンの髪は綺麗な自然の少し明るめなブラウンで、着ている服は大抵スーツ。
そしてアクセサリーをつけていた。

今目の前にいる人は、黒髪にきれいめなモノトーンでまとめられてた服装で、アクセサリー類は一切なく、唯一つけているのは腕時計位だった。


しかも、名乗った名前が全く違うのだからなおさら混乱した。


「さざなみ…」


私は何か思い出すようにその名を口にした。


「由麻とはどういった関係だ?」


お父さんが対面して間もない目の前の彼に不躾な質問を投げ掛けた。


「お父さんっ―――」


私は堂本さんの話を思い出す。

“レン”という源氏名の由来――――それはさんずいに連という“漣”から取ったのだ、と。


彼は

この目の前の人は


間違いなくレンだ。


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