Special
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「ダメだ」
「お父さんッ」
「名前はわかった。でもそれだけしか知らない。そんな見知らぬヤツといきなり二人きりにさせられるわけがないだろう」
お父さんは頑なにその場を動かず、また、私をレンに近づかせないよう間に入ったままだ。
「私は―――つい昨日までホストをしてました」
「ほ、ホスト??!由麻ッ…お前まさか!」
「由麻さんが来店されたのは全て理由があってです。私に届け物をするためだけの」
「本当か、由麻」
レンの説明には、本当のようなウソのような複雑な気持ちで、私はすぐに首を縦に振れなかった。
「正直……自分の今までの生き方は胸を張って言えるものではありません。
でも、そんな自分であってもどうしても彼女と生きたいと願ってしまうから――――
だから、何処でも、何度でも。あなたに許して貰えるまでお話しをしに行きます」
「・・・そのままの君で、由麻と由麻の将来を託せると思えると思うか」
レンの真摯な言葉にも、お父さんは冷静かつ冷淡な言葉を放った。
「お父―――」
「思えません」
しかしレンはそんな鋭い言葉にものともしないですぐに答えを出した。
それも、そのお父さんの意見に同調するような言葉だっただけに、私もお父さんも目を丸くした。