Special

「由麻、今更だとは思ってる。でも、もう決めたんだ……俺の傍で…俺と一緒に居てくれるか?」


もうこの時には祐真の顔が滲んでてよく見えなかった。


「きゅ、急に…」
「だって、5分しかないから」
「っふふ…」


お父さんから与えられたたった5分。


けれどその5分は生涯忘れられない5分になる――――。


「あの頃の俺にもう二度と戻らないように、ちゃんとしたくて…あの場所に帰ったんだ」
「帰ったって…」
「そしたら、やっぱり必然なのか―――会ったよ」


祐真のその言葉だけで、大体を悟った。


「んで、言ってきた」


祐真が“お母さんだった人”に言ったこと―――?


「さようならって」

そう。
やっと、祐真は暗闇から抜け出せたんだね。

だって、今の祐真の瞳は光に満ち満ちているから。
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