Special
◇Epilogue◇


「あぁ…すごい疲れた…」


そう一人でぼやきながらすっかり暗くなった道を歩いていた。
スーツに身を包み、重そうな鞄を肩に掛けて力なく歩く。


「――おい」
「きゃあっ!?」


決して人通りは多くない夜道に背後から声を掛けられて私は飛びのいた。


「隙、ありすぎ」
「ゆ、祐真!」


呆れる様に笑ってそう言ったのは祐真だ。


「隙もできるよ~…すごい疲れてるもん」
「あぁ、そんな感じだな」


祐真は笑って私の隣に並ぶ。
いつも車道側を歩くのは祐真の気遣い。


「やることが次から次へと出てくるし、毎日の準備だけでも…」


私はそう言って自分の鞄をぽんっと叩いた。
そんな私は、教員試験に合格して中学校の英語教師になっていたのだ。


「でも、楽しそうだ」


祐真はそう言って私の鞄をひょいと持ってくれる。


「祐真もでしょ?」

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