Special
「ん」
伏し目がちに祐真は優しく答えた。
無事に就職した私。
そして祐真とは言うと、大学を1年飛び級して大学院へと進んでいた。
今まで学ぶことをしなかった祐真はその燻ぶっていたものを爆発させたのか、物凄い勢いで勉強をしてあの後言った通りに最短で高認を突破してからもひたすらに勉強に励んでいた。
そして、学ぶことが面白いと認めた時に悩んで4年に上がることをしないで飛び級に踏み切った。
「だって祐真も忙しいのに愚痴のひとつも言わないし。むしろ楽しそう」
私はそんな祐真に、当時からすぐ気付いた。
祐真にとって、初めこそお父さんに認めてもらう為―――私たちの為、と学歴を求めたのだったのが、学ぶことの楽しさに目覚めてしまった時に色々と葛藤をしていた。
自分は何のためにこうしているのか。
少しでも早く社会人として一人前になって私のお父さんに頭を下げにいきたい。
でも、目の前の今まで見たこともなかったような世界も感じてみたい。
そんなとき、私は祐真に言った。
『長い人生の中でたった数年のことじゃない。私は大丈夫だし、お父さんだってもう祐真のこと本当は認めてるんだよ。
自分の為に生きてもいいんだよ。
祐真はもう、自由なんだから』
そして祐真はこう答えた。
『…ありがとう―――俺もすぐ由麻に追い付くから…!』