Special

「…うん。そう。祐真には素敵な家族がいたんだったね」
「いつか、どっかでばったり会うかもしれない。そん時を楽しみにしてるさ」


そう言って祐真は私の頭にぽんぽんと手を置いて私を見つめる。


「――家族……か」
「え?」
「由麻。俺が来年ちゃんと仕事みつけたらさ」


そのときの祐真の顔は一生忘れない。

あの日、私にハンカチを差し出して声を掛けてくれたときと同じまっすぐ綺麗な瞳。


「家族になろう」


その言葉は祐真が言うから最高に価値のある言葉。


家族に飢えて

家族に捨てられて

家族を諦めて

家族に憧れていた


そんな祐真が私に“家族になろう”という。
そんなspecialなプロポーズってない。


「―――なるっ・・・!」


そうして私は祐真に飛びついた。

いつか、諦めたあなたの小さな希望に火が灯る。


その隣にいるのが私で本当に幸せ。


あなたが私の特別で、私はあなたの特別でいたい。



今も、ずっと、この先も。








*end*
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