Special

◆番外編～Domoto's side～

＊

「おーい。もうすぐ皆来るぞ」


そう呼ばれて、おれはソファにだらしなく手と足を伸ばした体を起こして煙草を灰皿に押し付けた。


「おいおい。今日はDReaMの８周年記念パーティーなんだからシャキッとしろよ」
「んあ…」
「…全く。ほんと、こんな奴が経営者だもんな」


呆れながら遠藤はおれを横目で見てカウンターの中で色々と準備をしていた。


「８年…か。そろそろ改装でもするかぁ」
「資金はあるのか」
「なんとかな」
「堂本、この店は“特別”だもんな」


ふっと笑いながらグラスを磨いていた遠藤がおれに言った。


特別――――


まぁ、おれの記念すべき独立第一号店だしな。



「ああ、そういえば今更思い出した。この店のDReaMってどんな由来？――って聞いて昔教えてくんなかったよな」


体を起こして立ちあがったおれはそんな第一号店店内を見渡した。
構わず遠藤は続ける。


「あれか？特に深い理由はなく、若い時にありがちな“夢”でも詰めた感じか？」


どこかバカにしたように笑いながら。