Special
***数週間前***
「…ココ、何時まで?」
そうまだ酔いの残る中、ぶっきらぼうに尋ねたのは、オレ。
「…3時です―――が、本日はあなたの気が済むまで」
そんなオレに怯むこともなく、即答したのがバーテンダーをしていた女。
その時のコイツの瞳に、ムカついていた胸の内をスッとさせられた。
なんか、ムシャクシャしてるこの心が、一瞬でどうでもいいことのようにも思えた。
「――ジンがベースのやつ、テキトーに」
「かしこまりました」
椅子に座ってグラスにライムを絞り注ぐその女の姿を黙って見つめる。
手早く完成したその酒を、オレの前に置いた。
「どうぞ」
それ以上そのバーテンダーは何も言わなかった。
オレはそのライムが沈んだグラスを見つめたまま静かに聞いた。
「オレみたいなやつが、ジンて…笑えるだろ」
「―――いえ? だって、仕事で散々飲んでるんでしょう? さっぱりされたいんだな、と思いはしましたけど」
その反応にオレは未だにグラスに手を伸ばさずにいた。
「おま…知って…?」
「ここに勤めていたら。看板くらい見る機会ありますよ、DReaM №1、マサキさん」