Special
「…レンで、お願いします」
「レンですね。承知いたしました」
そう言ってウェイターさんはファイルを持って去って行った。
しばらく待つと、遠くから足音が近づいてきた。
いざとなると心が挫けて下を向く。
そこにあの声が聞こえた。
「ようこそ、DReaMへ。ご指名ありがとうございます。レンで―――…」
レンは私の隣に座り、私のことに気付くと目を見開いてこの上なく驚いた顔をして止まっていた。
「あんた····何して···」
「あなたが、いたから」
「··すげぇ行動力だな」
レンは呆れたように、目を逸らしてそう言った。
「飲み物は?」
「え?え…と」
レンは私の答えを待たずにウェイターを呼んだ。
「オレンジ」
そして私とレンの時間が始まった。