Special
「レン。私···」
階段を昇って外に出て見送りをしてくれるレンを見た。
「…なに?」
「私···」
何を言えばレンを繋ぎ止められるのかわからなくて。
必死で悪い頭働かせてもやっぱり何も出てこない。
「“今日はありがとう気をつけて”」
営業的な印象を受けるセリフをレンは敢えて言う。
私はずっとそんなレンを見たまま帰ろうとしなかった。
「あのっ…携帯を…」
「由麻にはもう必要ないだろう?」
「えっ···?」
「由麻みたいなタイプはこういうとこ、向かないよ」
あの日と同じ、真っ直ぐな目でハッキリとレンはそう言った。