Special
私が堅く手を離さなかったのにレンは降参して、少しだけ。と時間をくれた。
私は飛び出してきたから手ぶらのままだったけど、携帯は持ってたから茜に連絡してそのままレンと歩いてた。
「俺、客とは外で会わないようにしてんだけど」
「え?どうして···」
「さぁな」
「…ねぇ、レンは何歳だっけ?」
公園に入ってどちらからともなくベンチに座って池を眺める。
「22」
「そっか。やっぱり年上だったね」
そんな些細な会話しか思いつかなくて、せっかくこうして一緒にいれるのに何か話をしなきゃ!と私は必死で話題を振る。
「わ、私、あの時すごく助かって」
「―――あの時?」
「駅で初めて会った時!」
あぁ。と目も合わさないで膝に肘をかけて真っ直ぐ前を見ているレンに私は構わず話をする。
「あんなに人がたくさん通るのに、あんな風に声かけて、助けてくれる人なんて誰ひとりいなくて。私地元が田舎だから余計に都会の人に悲しくなって…」
私は上京して大学に通っているから···