Special

「俺のように…って…キャバ嬢でもやるつもりか?」
「キャバ嬢…そんなの考えたことないよ!」


夜の世界に免疫のない私はレンのその冗談で言った“キャバ嬢”という単語だけで頬を赤くしてしまう。


「俺なんかよりもたくさん手本になるやつはいるだろう。ここはたくさんの人間がいるんだから」
「···たくさんの人の中で、レンしかいなかったんだよ?」


駅での時も

私の心を奪う人も。



「·····」

「······」





お店に居るレンは凄く笑顔で楽しそうに話をしていた気がする。
それはホストクラブに行った時の私に対してじゃなくて、他の女の人に。

でも、今隣にいるレンは必要以外に話をしない。

今もこうして無言になってしまっているけど、もしかしたらこれが素のレンなのかと思えばこの静寂がどこか嬉しくも感じてしまう。





『クゥ~ン…』


< 33 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop