Special
ホストmode off
沈黙の中に聞こえたその声にレンと顔を見合わせた。
当たり前だけどその声の主は私でもレンでもない。
ベンチから立って辺りを見回してみる。
するとレンがスッと後ろの木蔭へと歩いて行ってしまった。
「レン…?」
後を追いかけていくと、レンはおもむろに足を曲げて何か話し始めた。
「…お前、ひとりか…?」
少し横に移動して角度を変えてみると小さな段ボールに一枚の布切れにくるまった犬の赤ちゃんがそこにいた。
私は黙ってそんなレンと子犬を一歩後ろから見ているだけ。
レンは汚れたその犬を抱くことに全く抵抗なく、そっと抱きあげた。
「震えてるな。寒いか?腹、減った?」