Special
「・・・違う。同情なんかじゃ、ない」
それ以上は何も言えなくて私はまた俯くだけ。
その言葉は勿論本心。
だけど、この状況で色々と言葉を並べても逆に白々しく思われるんじゃないかって思って。
「・・・・・いただきます」
そんな空気を変えようとしてなのか、レンはぽつりとそういうと黙々と私の作ったパスタを口に運んだ。
その姿を見て、ほっとしてちょっと笑顔が零れる。
そしてチビを見て私はまた笑顔になった。
少し緩んだ空気に、ふと、私は部屋を見渡した。
さっきはチビにまっしぐらだったから。
ざっと見た感じ、部屋は多分3〜4LDK。
広いリビングに、小さなテレビとテーブルだけ。
隣に繋がる開きっぱなしのドアの奥にはベッドだけが見えて、本当にあとはなにもない。
綺麗にしているというか、必要最小限のものしかこの空間に存在していなくて、広い部屋だけに寂しさが感じられる気がする。
さっきキッチンを借りたけれど、冷蔵庫も小さなもので、水が入ってるくらいで他はなにも見当たらなかった。