Special
「レンの客に、お前の存在を吹き込むだけでいいんだから」
「・・そんなのっ・・・」
お客さんが信用しなければ問題ない
私がそう言おうとした目の前に、携帯の画面を突き付けられた。
「こういうの、百聞は一見に如かず、っていうんだった?」
そこには私とレンが並んでレンのマンションから出てくるところが写ってた。
「これ…昨日の…?」
「そう。レンのマンションからレンと出てくるオンナ。それだけで十分だろ?普段色恋しないレンで有名だ。なおさら真実味は帯びるよね」
「イロコイ・・・って」
そういえばさっき堂本さんもそんなことを言っていた気がする。
「あー。知らないか。“色恋”ってさ、営業手段のひとつで、客と付き合ってるように思わせて自分から離れられなくする方法のこと」
「営業手段・・・?」
「そう。恋人みたいに思わせたが勝ち、みたいなね」
マサキは軽快に説明しながらその写メを見て楽しそうに笑う。
「あなた、一体―――…」
「由麻チャン。オレはあんたと仲良くなりたいだけなんだよ。わかった?」
マサキはそう言いながら私の頬を軽く撫でた。
そして『今日の日付が変わるまでに連絡を』と一方的に言い捨てて、ホストクラブのある方へと歩いて行った。