Special
「あの…マサキを…」
「マサキ…でございますか?」
「だ、だめですか…?」
「いえ…承知致しました」
そういって黒服の人がいなくなってすぐにマサキがやってきた。
「由麻チャン。本当にきてくれたんだ!嬉しいよ」
いかにも“仕事”の口調で近づいてきたマサキに私はこれ以上ない位鋭い目で睨みつけて無言になった。
「そんな怖い顔すんなよ、何飲むの?」
「別に何でも…」
「ふぅん?」
ニヤニヤ笑いながらマサキは近くのウエイターに何かを頼んだいたけど私はそんなのどうでもよくて、早く用件済ませて帰りたい一心だった。
だからさっさと本題を振った。
「あの写真、今すぐ消して下さい」
「え?あーあれ?…まぁ消してあげてもいいけど」
「ふざけないで!今ここで消して!」
「慌てんなよ、由麻チャン!主導権はオレが握ってんこと忘れんなよ?」
ニヤリと笑うその顔が憎らしい。
そう、とりあえず言うことを聞かないとだめだ。
私はまた黙ってテーブルに置かれた焼酎とオレンジ一点を見つめた。