Special
「お酒は・・・」
「まぁちょっと位大丈夫でしょ」
「いらない」
「…そ」
他のテーブルは盛り上がっているのにここはなんだか辛気臭い。
当たり前だ。会いたくない奴と一対一で話をしているんだから。
「あなた、何が目的なの?私お金もってないし!」
「お金?あー…お金ね。うん。金はいいよ、他の客いるから」
「じゃあなんで…」
店なんかにわざわざ呼んで指名なんてさせるのよ!
そう思ったらマサキは表情が少し真面目になって言った。
「由麻チャンはレンの特別だから、かな」
「はぁ??!」
――意味がわからない。
そもそも特別でもなんでもないし、だからこそ今朝別れを告げられたし。
大体レンの特別な人を捕まえて何がしたいんだろう。
「ほんとにわからないの?」
「わかるはずないでしょ。私はレンとはなんの関係もないんだから」