Special
Ren's side
俺は指名をほったらかして外に飛び出た為、すぐに店に戻ってきた。
「レン!なにしてたんだ!」
黒服に注意されて一言謝ると、俺を待っている客のテーブルへと急かされる。
「あっレンー!どこいってたのよぉ?」
「ごめん…失くしもの、探しに」
「えー?何失くしたの?」
「・・・犬」
「犬って!それはわかりやすい嘘でしょ~!レンでもそんな冗談言うんだ~!」
俺の姿を見るなりすっかり機嫌を直した客に、いつもどおり笑顔で振舞う。
「もし本当に犬がいなくなったんなら、新しいの買ってあげよっか?」
いかにもお金持ちのセリフだ。
「いや…また出逢ったら別れる時が辛くなる」