Special
その日は明け方まで遠藤と飲んで、酒は強いおれだったがさすがに営業後のはしご酒に足はふらふらとしていたと思う。
ドンッ
「いって・・・!」
「・・・・・」
おれが蹴っ飛ばした筈なのにおれが『痛い』と言う。
そんで蹴られた本人は何一つ声を発さなかった。
そんな足もとに座り込んでるガキをおれは見た。
そしてそのガキもおれを見ている。
このやろう…
ガキがガン飛ばしてんじゃねぇ!
つーか大体おれが睨んだら大抵のやつらはすぐに目を逸らして逃げたがるのに…
ガキすぎておれの怖さがわからねぇのか?
「なに見てンだよ、悪かったな。でもそんなとこに居られちゃ邪魔なんだよ」
「・・・・」
「おめー耳と口、死んでンのか?!」
そう言わざるを得ない位に手応えのないやつだった。
何を言っても表情ひとつ変えないで、口も開かない。
ただ印象的なのは、その少しも逸らさない目と男の筈なのに見とれるほどの端正な顔立ち。
「おい。聞こえてんなら返事位しろ。…お前いくつよ?」
そしてそいつは未だにおれから視線を外さずに言った。
「・・・14」