その想いが届くまで-先生-
「本当に、もう卒業したんだなぁ…。高校に入ったら、やっぱり陸上に入ろうかなぁ」


また部活の事を考えてしまう私。





「いい加減…恋愛とかもちゃんと考えなきゃダメだよね…。…なんて、中学は良い男の人が居なかったんだからしょうがなかったんだ!あ、こっちの服も良いかもー。いや…きっと、私が陸上バカだから悪いんだ。そんでもって、出会いもないし…。うーん…このジーパンで良いかな?はぁ…、葵はきっと出会いがいっぱいなんだろうなぁ…。って、なんでここで葵が出てくるのよっ」








─ピンポーン





「うあ!葵だ。もう来たんだ」


微妙に早口で独り言を言っていた自分に気づき、急いで鞄を持って玄関に出た。



玄関のドアを開くと、綺麗な格好をした葵が立っていた。




「よっ!もうちょっとで集合時間やし、行こっ」


「うん!」







久しぶりに大勢の友達と遊ぶ。

るんるん気分で、一軒家が並ぶ住宅街を葵と歩く。


「ユキ、何でそんなん気分良いん?」


軽くスキップをしながら歩く私に、葵が話しかける。



「えー?だって、こんなんいっぱいの友達と遊ぶの、めったにないじゃん?」


「あー、そやなぁ。ユキは陸上バカやしなぁ」




…うっ。

やっぱり、私は陸上バカだったんだ…。


「仕方ないじゃん。走ることが大好きなんだもん。気持ち良いし、このまま走ってけば、空飛べるような気がするっていうか…」


「ほう。さすが部長の言うことは違うねー」


呆れ顔で言う葵。


むぅー。

私は真剣に言ってるだけなのに。








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