その想いが届くまで-先生-
「走るのに熱心になるのもええけど、ちゃんと恋せんと負け犬のままやで?」


「えっ…」


来たっ。恋の話題。


「べ、別に…大丈夫だもんっ!高校に行ったら、ちゃんと出会いあるもんっ!」



「…さぁ。どうなるんかね。もっとセクスィ~にならんダメやで?やないと、男の目ひけないで?」




…セ、セクシィ~。

そ、そんな童顔な私に言われても…。

関西出身の葵。関西弁なんか喋っちゃうから、元々綺麗な葵が、もっともっとセクシーに見えちゃうんだ。

だから、そんな事言えるんだっ葵は!





「あ、でも、間違ってオヤジ教師の目ひいちゃイカンで?」


「おっ、おやじ?!そんな、嫌だよー。気持ち悪いこと言わないでってばぁ…」


横で馬鹿にして笑う葵。

ぬぬぬ…馬鹿にしやがってぇ…。




さっきまでのスキップは消え、むぅっとした顔で下を見ながら歩いていると、遠くから声がした。




「おぉ~いっ!はよ、行くよ~!」


集合場所の滝沢公園の前で、友達が両手を振り、大声で叫ぶ。


「はぁ~いっ!!」


急いで、葵と私は友達の元に駆け寄る。





この日は、プリクラを何枚も取ったり、ファミレスに行って、まだ恋愛経験ゼロの私は、みんなの恋バナを聞いて過ごした…。



久しぶりの遊び。

部活以上に、盛り上がった。

中学の思いでは、この日で最後になった。
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