その想いが届くまで-先生-
改めて校庭全体を見渡すと、優しい風に揺られる、覆いかぶさるように生える桜の木。


たくさんの生徒の緊張の声と母親の笑い声が響き渡っていた。



これから、どんな高校生活が始まるんだろう。

私は、ドキドキする鼓動を抑えながらも、考えていた。



「ユキー!」


綺麗な桜に見とれていた私に、遠くから葵が叫び、息をはずませながらこっちに走ってくる。


「あ、葵。おはよー!」


「おはよっ!ママさんとかは?どこおるん?」


「あぁ、お母さんは先に体育館入ってるって言ってた」


「そっか。こっちも行っとるって。んじゃ、待ちに待ったクラス表、見にいく?」


「そだねっ。レッツゴー!」


「っぶ。ックックック」


「?!何で笑うのっ!」


「いやー、何でも無い」


「何やねん!」


「…口にご飯粒ついとるんやけど」


「え…うわあっ!こんのっ」


「入学早々、大丈夫なん?」


「…ふんぬぅー」


「ほら、行くで」


「ふぬっ」












< 7 / 18 >

この作品をシェア

pagetop