その想いが届くまで-先生-
やったあ。

葵と同じクラスになれたんだ!


…これからは、ちゃんと恋愛と部活両立してかないとな…。


さっそく、出会い探しでも…。


葵に着いてけば、10人くらいは仲間になれるはず…。


「葵。さっそく出会い探し、手伝ってください」

結構真面目に言ってみる私。


「ああ。そうやね。お友達のほう?彼氏のほう?」


「両面でお願いします」


「了解です。そういやユキ、恋愛経験ゼロやったっけ?」



…ギクッ


聞いてほしくない、その言葉。



「それはしょうがないの。ほら早く行こうよっ」


そう言って誤魔化し、後ろを振り向くと、突然誰かにぶつかった。



「いっ」


一瞬よろめき、とっさに誰かに腕を摑まれた。


目を開けると、視界が黒いもので覆われた。



「す、すみません…」


慌てて体勢を戻し顔を上げると、一人のスーツを着た男の人が立っていた。





「大丈夫?気をつけてね」


その人は黒髪で、少しくせのある短い髪型。


整いすぎてなくて、でも筋の通っている綺麗な輪郭。


背は175センチはありそうだった。


その人は、低くて綺麗な声をしながら、微笑んで私に注意した。






その途端、自分の心臓がドキンとなったのに気がついた。







─これが…先生との出会いだった。
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