わたし、すきなひとができました。
「美味しーい!!!!」
「アイス久々に食べたかも!」
「あ、確かにー!」
海音とアイスを食べながら歓喜の声をあげていると、後ろから笑い声。
その声に振り返ると、そこには男バスの集団がいた。
「…は、原田くん……」
その中にいる、笑い声の主は原田くんだった。
「本当、美味そうに食べるねー」
「だって本当に美味しいんだもん!」
なんか…馬鹿にされたーっ!
「武、この人誰?」
部員の1人が原田くんにそう聞いた。
そっか、去年のクラスは男バスいなかったから、わたしの事知ってる人いないのか。
「C組で一緒になった、野口さん」
「あー、新しいクラスか」
「そうそう」
原田くん経由で、男バスの人たちに紹介してもらったわたし。
自分からなかなか行けないから、ありがたかった。
「野口さん、そっちの人は?友達?」
「あ、うん!瀬尾 海音っていうの!」
「よろしくねー、原田くん!」
「こちらこそー」
海音も原田くんたちに紹介して、その後はまた2人で帰り道を歩く。
男バスさんは、外周中だったんだって。
も、もしかして邪魔だったかな…。
「原田くん…だっけ?いい人だねー」
「え、まさか海音…原田くんの事…!?」
「いや、それはないから」
恋愛対象としてじゃなく、“人として”いい人っていうのが、海音の講評だった。
うん、いい人だよね、原田くん。
初対面のわたしともいっぱい話してくれたし、変なテンションでも引かないでいてくれたし。
いい人、だよね。