ビタミンA
とりあえずまずはあたしの正体から

チャイムがなって今日も楽しかったようなダルかったような学校が終わる。

「時川。今日カラオケ行こうぜ。」
とあたしに声をかけてきたのは、同じクラスの清水彰。

重ための黒髪にセルフレームの眼鏡という。俗にいう黒髪イケメン。

あー。そしてアニメ、マンガをこよなく愛するあたしの友だちなのである。

「あー。ごめん彰。今日は先約があるんだ。」
そう。今日はどうしても外せない用があるのだ。
行きたかった。アニソンがあたしを待っていたというのに。
ばっくれたいけどあとあと怖いしな。

などと考えていると

「時ちゃんー。」
「俺らとパフェ食べにいかない?」
と天使みたいなたくちゃんとプレイボーイ小野が声をかけてきた。

「ごめんな。たくちゃん、今日は先約があるんだ。」
とかわいいたくちゃんに謝った。

「俺には何もねーの?」
とプレイボーイ小野についてはスルーさせてもらった。

「うん。プレイボーイ小野は、誘う女の子なんていっぱいいるのだから。こんなどうしようないあたしなんかに構わなくていいんだよ。」

とプレイボーイ小野の右手にある腕時計をコイツいい時計してんなと思いながら眺めたが、時計が見事に約束の時間をすぎていた。

そう、過ぎていたのだ。
< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop