はなかざり
何故かいつも、視界にいるヤツらだ。

「さあ亮介君を放しなさいよそこの2人!」
「ヤダ」
「あたしも嫌よ!」

・・・どうして俺は、こう独占欲の強いヤツばっかに好かれるんだろう。

俺はもう、あからさまに溜息をつくことしか出来なかった。
そんなことしても、誰一人気付きはしないのだが。

「放しなさいったら!」
「そーよ!」

親衛隊の3人が、絵里の腕を外しにかかる。

「なんであたしなのよぉー!そいつを先にしてよ!」
「絵里ちゃんがさっさと放せばいいだけじゃん」
「黙れえ!」

絵里も、ここまで来るともう意地だ。
何が何でも放さない気らしい。
顔を真っ赤にして怒り、俺にしがみ付く。

「あーっもう!!邪魔なんじゃお前ら゛ーっ!!」

・・・と言えたらなんと楽なことか。
平和主義者な俺にはそんなこと言えるはずなかった。
黙ってこの言い争いを無視し続けるだけ。

「こーなったら亮介本人に決めて貰おうじゃないの!!」
「え?」

な、何を言い出すんだ絵里。

「そうね!そうしましょう!!」
「俺もさんせーい」

絵里に同意する我が友。

「賢二っ!?」
「何ー?亮介」

ニコニコといつもの笑みを返してくる賢二。

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