はなかざり
背景には薔薇が似合う。

「亮介君」
「あ。はい」

整った顔が、だんだん俺に近付いて来る。
え、何!?
そして綺麗で指の長い手が肩にぽんと置かれ、

「ああいうのにはがつんと自分の意見言わなきゃ駄目だよ」

と、耳元でアドバイス。
不思議と嫌悪感が少なかった。
でもなんで耳元なんだよとは思った。

「先輩っあんまりあたしの亮介に接近しないで下さいっ」
「だから亮介君は亮介君のものだって。ね?」
「え、あ、はい」
「亮介っ!」

ぐいっと腕を引っ張られ絵里の方へとやられる。
それを先輩はくすっと笑った。

「じゃ、皆、学校遅れないようにね」

そう爽やかに言い放ち、去って行く高橋先輩。

そういや、なんで絵里のことは「城崎」って苗字なのに、俺は「亮介君」なんだろ。

「亮介っ」

絵里の呼びかけで我に帰る。

「どーかしたの?」
「ううん。別に」
「亮介ーマジ急いだ方がいいかも」
「えっ?じゃ、じゃあ走るか!」

賢二の声に促され、俺達は走り出した。

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