嘘2
「なんで急に引越しするなんて言い出すんだよ
真美だって今の小学校離れるの嫌だよな」
部屋の隅っこで小さくなっていた琢磨は愚痴を漏らす。
今朝方、仕事から帰ってきた珠代は化粧も落とさないうちから、
引越し業者に電話を掛けていた。
手回しのいい珠代は既に引越し先も決めてきたらしい。
琢磨は一人娘の7歳の真美を膝に座らせ、顔を見合わせた。
「・・・うん、友達と離れるの嫌だ」
真美の瞳は今にも泣き出しそうで琢磨まで悲しくなった。