最後の恋なら
「美羽、喉乾かないか?
お茶でも飲む?」
こうやって明るく話しかけても
「……………」
全く反応しなかった
美羽と再会した時に少し喋ったのと
少し笑ったのはほぼ偶然だったみたいだ
それすら運命だと思うと鳥肌が立つほど嬉しいが
今の美羽を見て
全く笑える状況ではない
「矢崎さーんお食事の時間ですよー」
看護婦さんが夕ご飯を持ってくる
「あ、俺食べさせていいですか?」
俺が看護婦さんに聞くと
「いいですよ」
と許可が降りた
よし!これで俺も役に立つぞ
「ほら美羽美味しそうだな
これ食べて栄養つけような」
美羽にご飯を食べさせようとするが
食べ物から顔を遠ざけた
「食べないのか?」
俺がそう言うと
「………ぉ………さん」
美羽が何かを言っていた
「美羽?どうした?」
俺も聞き取ろうとするけど
「……ぉ……さん」
やはり聞き取れなかった
この悲しさと罪悪感が俺の心を刺した