最後の恋なら
一般的な恋人は付き合い始めた時
一緒にいるのが幸せで
ずっと喋っていて
何をしてても楽しくて
全部全部好きで
何より
お互い笑いあっているはずだ
でも
俺と美羽は
目も合わない会話も出来ない
お互いが何かに押しつぶされている
そんな感じだった
結局美羽はご飯にも手をつけず
美羽が言っていた言葉も理解出来ないまま今日が終わった
それから1週間
状況は変わらず
「………さん」
美羽の言葉もやっぱりわからないままだった
またさらに1週間
見たことのない人が病室に入ってきた
「こんにちはー」
女の人だった
誰だろう?
でも
どこか面影が似ている
「こんにちは…」
俺も挨拶を返す
「あら?美羽の友達?なんてことないよね?
どなた?」
美羽を知ってる人か
「俺、美羽の恋人の市川尚志です」
俺がそう言うと
「恋人……?」
その女の人は驚いた目をしていた
「うそー?美羽と付き合ってるの?
美羽もオッケーしたの?」
誰かわからないがその女の人は美羽に聞く
「へーオッケーしたんだー」
美羽は何も言っていないけど女の人は通じたような事を言った
「あの、失礼ですけどどなた?」
俺は女の人を尋ねる
「美羽の姉です」